飛び込む身体を止めようとしたけれど、僕の手は届かなかった。


熱気の溢れる地核に消えていく、僕と同じ模造品。最後の最期で、素顔を見てしまった。


同じ顔、正反対の境遇、悲痛な言葉。


きみが僕の隣にいるとたまに、つらそうにしていたのは、僕と同じ人間だったからなんですね。それでもきみは、僕にそれを伝えることすら、できなかったんですね。(気づいてあげられたらよかった、・・・気づけなかった)


気づけば流れ落ちていた涙。どこか遠い仲間たちの声。



シンク、僕の模造品。



いつか庭園で語らった日のことを、憶えていますか?僕が愛おしいと言うと、きみはそっぽを向いて仮面を被り直しましたね。
(あのとききみの素顔は見えなかったけれど、けれど、うれしい顔をしていたのなら、いいな)


いつか廊下で擦れ違った日のことを、憶えていますか?僕が挨拶をすると、きみはため息をついて僕の寝癖を直してくれましたね。
(あのとききみの唇は見えなかったけれど、けれど、しょうがないやつだなと言った、あれが聞き間違いじゃなかったなら、いいな)


いつかふたりで出かけた日のことを、憶えていますか?僕が迷子になりそうになると、きみは僕の手をつかんで歩いてくれましたね。
(あのとききみの心臓は見えなかったけれど、けれど、掌から感じた熱が、気のせいじゃなかったら、いいな)




僕は忘れないでしょう、あなたのことを、きっと


愛していました、こころから


愛しています、こころから









深紅の業火に消ゆる、きみよ












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地核に落ちるときのシンクってすごいせつないですよね・・・!
シンクと深紅は一応かけてみました。
ところで私何でシンイオ書いてるんだろう普段ルク受が好きなくせに