数週間ぶりに抱きしめた身体は外の匂いがした。太陽の、土埃の、どこかの街の、それから体臭の混じった匂い、とかく、いつものそれではない。タンクトップからはみ出した丸みのない、肩のラインを舐めるとぞくりと背が粟立った。首に顔を押し付けたロイドは、ん、ん、と短く声をもらし、私の背を握りしめていた。左腕をそっと持ち上げてくぼんだ、脇の下に口付ける。
「・・だめだ、脇の匂いだけで興奮する・・・」
「・・・・変態」
「不本意だが、甘んじて受け入れよう」
甘く言を紡ぎ、舌を伸ばして短く毛の散ったそこを舐める。少年らしい汗臭さが鼻先をかすめ、欲がつのった。くすぐったいのか、ロイドは笑いをこらえるように震えていた。
近く、ルインに住む知り合いが病気で、親戚に手紙をといい、遠方の街までロイドが届けに行った。ついていくと言ったのに、たまにはひとりでのんびりしたいんだ、すぐに帰ってくるからと出て行って一週間が経った。行き先の街に便りを出したが、返事はなかった。数週間後、どっさりと土産を持って戻ってきたロイドは親戚をルインまで護衛し、そしてとんぼ返りするように病人のための薬をまた探しに行き、ようやく見つけて帰ってきたという。途中でその旨を書いた手紙をこちらに送ったらしいが、なにせ森の奥の家だから届かなかったらしい。
心配したのだぞと、くどくどしばらく怒ってから、勢いでソファになだれ込んだ。数週間もおあずけを喰らった、ロイドは風呂に入りたいと言ったが待つのは癪だった。
おとなげなく、若々しい肢体を乱暴に自分の下に敷いて見下ろした。暮らし始めた当初はキスをしていただけで飛びのいていたのに、二年、変われば変わるものだとタンクトップをめくりながら、赤い目を見て笑った。
「ん、だよ、笑ってねえで、・・さっさと、しろ、変態」
「いわれなくとも」
くつくつと喉を鳴らしてかがみこみ、平たい胸を舌先でなぞるとひ、とか、ぁう、だとか歯を食いしばる幼さが可愛らしい。虐めてやりたくなって胸の突起に歯を立てるとびくりと跳ね、そういえば離れている時間はロイドも等しかったのだと気がついた。荒く息をするいやらしい舌が唇にのぞき、そこから理性はなくなった。
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