わらわらと、子どもに囲まれた相棒はちょっとこまった顔で俺をみた。
どうしようかと問う目線に小さくうなずいてやれば、うれしそうにしゃがみこむ。にぎやかな歓声が耳に響いた。





ロイドくんとイセリアに来れば、こんなことはしょっちゅうだった。


なにもちびっこに限ったことではない、村の人間は老若男女だれでも、ロイドくんに声をかけた。ああおかえりだとか、無茶してないだろうねだとか、わあロイド肩車してよだとか、わらいながら。
そしてそのたび、この真面目な人気者は俺をふりかえるのだ。すこし話をしてもいいかという無言のお願いにももうすっかり慣れてしまった。


そういうときは決まって、のどかな村にふらりと視線をただよわせて待つ。ああここで生まれ育ったんだとか、思いながら、うしろの笑い声をやり過ごす。そして終わったころにそっと振り向いてやるのだ、帰ろうかとおちついて話しかければロイドくんがほっとすると知っている。普段は微塵もそんなようすはも見せないくせに、ときどき妙なところで気を遣う。(それさえ愛おしいとおもってしまう俺は末期なのだろうか)


村を出ればとまどいがちに手がふれてくる。手袋はずしてくれたらいいよ、目線はやらずに言ってやる。視界の端、いそいそと左手を空ける仕草はかわいかった。










些か急だったけれど久々の帰省を、ダイクさんは笑顔で迎えてくれた。


肉だ魚だ山菜だ、さあ飲めや飲めやと大皿に一升瓶を持ってきたのにダイクさんが潰れるまで付き合っていれば夜もとっぷり更けてしまった。ベッドに倒れこんだロイドくんがはああと大きく息を吐く。


「ったぁく、親父のやつザルだからなあー・・・」
「飲む相手がいたからうれしかったんでしょうよ」
「うー・・それにしても、四本は飲みすぎだろ・・・・・」


ごろんごろん、付き合いで飲んだ酒もそれなりのロイドくんはしんどそうにしばらくぐだぐだしていたけれど、そのうち静かになった。暑いからと上着を脱ぎ捨てたタンクトップに毛布をかけてやるとかすかに身を震わせてくるまった。ゆっくり頬を撫ぜると浮かぶ笑顔、思い出す昼間。


・・・・さすがに、惚れた男が他のやつに笑いかけるのを黙ってみていられるほど人間はできちゃいない。かといってなりふり構わず噛み付くほどお子さまでもない。そう、


(だいじょうぶ、俺さまは大人だから可愛い嫉妬なんてしてやらねえよ、ただ、)


眠っている隙、床に打ち捨てられた赤の上着を拾う。机には村で見つけた上等のインク、手にはペンを口元には悪戯の微笑を、たずさえてその襟に書き込んだ、







ゼロス・ワイルダー







「あれ、・・え、ちょ、なんだよゼロスこれ!」
「なにってなまえだけど」
「そーゆーことじゃなくて!なんでこんなとこに書いてんだよ!」
「だっておれのだから」
「はああ?いみわっかんねー!これは俺の服だろ!あーしかも油性だし!あー!もー!バカー!」
「(かわいいなあ)」












もどる





____________________________________
ロイド・アーヴィングに捧げます(タイトルも含め^^)
今日は本当におめでとうございました、これからも変わらず、あなたを愛します


(2008/12/21:ロイドくんおめでとう祭第一弾)